日本財団 図書館


 

の優れた特性を持っている。郵政省では1995年2月から、「高速衛星通信に関する調査研究会」を開催し、高速衛星通信の研究課題や実現方策について検討し、同年6月に報告を行った。

報告では、衛星通信は現在、映像メディアの伝送としての利用が圧倒的であるが、これ以外に今後求められる役割として、

(a) 地上系との連携によるユニバーサル・サービスの確保

(b) 地上系との連携による災害に強い情報通信基盤の構築

(c) 同報性を活用した情報サービスの提供

(d) 国境を越えたボーダーレス・サービスの提供

(e) 地上系の無線との連携によるシームレスな移動体通信サービスの提供

等があり、このような役割を果たすため、衛星通信ネットワークの整備目標は、2005年頃を目処として1.2Gbps程度の超高速衛星通信の実現をめざし、以下のテーマを推進することとされている。

(a) 高速衛星通信アプリケーションの開発

(b) 諸外国との連携による高速衛星通信ネットワークの開発

(C) 超高速衛星通信基盤技術の研究開発

(d) 普及促進のための地球局の小型化・低価格化

目標を2005年に置いたのは、2005年の加入者系光ファイバー網の普及率を60%とする整備計画にあわせたもので、本格的な高速通信サービス普及の元年としたものである。想定される通信サービスには、電子博物館などの個人利用、多地点への大量情報伝送等の企業利用、遠隔医療や研究情報ネットワーク等の公共分野での利用がある。

報告書ではこのほか、長期的課題として「宇宙における人類の活動を支える情報通信基盤」としての「スペース情報ハイウェイ:SIH」構想も提案している。SIHとは、宇宙空間からの地球観測、宇宙ステーションにおける研究開発・生産などの宇宙活動を支える情報通信基盤をいい、構成要素には静止型や周回型の通信衛星、静止プラットフォーム型の宇宙通信基地などがある。ミリ波帯等を用いたギガビット級の通信衛星による世界規模のネットワーク整備や光通信衛星による超大容量ネットワークの整備を経て、2020年の完成を目標としている。

「高速衛星通信に関する調査研究会」報告をさらに具体化したものが、1996年5

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION